(令和5年執筆時の情報を基に記載しております。ご了承ください。)
最近増えてきているのが認定長期優良住宅。
認定長期優良住宅とは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に規定する認定長期優良住宅に該当するものとして所管行政庁から証明を受けているものをいいます。
認定長期優良住宅の新築物件を購入すると、大きなメリットがあります。例えば固定資産税の減額や登録免許税の軽減、不動産取得税の軽減などが受けれられます。
また住宅ローン控除でも優遇措置があります。それは借入限度額。このような違いがあります。
借入限度額の違い
・一般の住宅の借入限度額 3000万円(令和6年以降は0円または2000万円)
・認定長期優良住宅の借入限度額 5000万円(令和6年以降は4500万円)
期間はどちらも13年(一般住宅の令和6年以降は10年)、控除率は0.7%です。
⇒住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
では、認定長期優良住宅を中古で購入した場合にはどのような税のメリットがあるのでしょうか。
認定長期優良住宅を中古で購入した場合の登録免許税
不動産登記申請時に支払わなければいけない登録免許税の本則の税率は、以下のようになっています。
本則の登録免許税
土地の所有権移転登記 1000分の15
建物の所有権移転登記 1000分の20
建物の保存登記 1000分の4
建物について、租税特別措置法が適用になる場合にはこの税率が軽減されます。
新築物件を購入する場合は、建物について保存登記をすることになりますが、租税特別措置法が適用になる場合、税率は1000分の1.5となります(租税特別措置法72の2)。
1000分の4⇒1000分の1.5に軽減
例)建物価格1000万円の場合
1000分の4⇒4万円
1000分の1.5⇒1万5千円
認定長期優良住宅の場合、この登録免許税がさらに軽減され、税率が1000分の1になります(租税特別措置法74条1)。
1000分の4⇒1000分の1に軽減
例)建物価格1000万円の場合
1000分の4⇒4万円
1000分の1⇒1万円
中古物件を購入する場合は建物の移転登記をすることになりますが、租税特別措置法が適用になる場合、税率は1000分の3となります(租税特別措置法73条)。
認定長期優良住宅の中古売買の場合、この税率はさらに軽減はされません。
1000分の20⇒1000分の3に軽減(一般住宅・長期優良どちらも)
例)建物価格1000万円の場合の登録免許税
1000分の20⇒20万円
1000分の3⇒3万円
なぜなら認定長期優良住宅として登録免許税が軽減されるためには「未使用である」ということが条件だからです。
中古で購入するとなると一度使用された物件の購入となるので、認定長期優良住宅としての優遇は受けられません。ただし一般の物件と同様に租税特別措置法73条は受けることができます。
詳しくはこちらをご覧ください。
認定長期優良住宅を中古で購入した場合の住宅ローン控除の借入限度額
次に認定長期優良住宅を中古で購入した場合の住宅ローン控除の借入限度額です。
中古の認定長期優良住宅の借入限度額 3000万円(令和4年~令和7年)
一般の中古住宅の借入限度額 2000万円(令和4年~令和7年)
ローン控除を受けられる期間はどちらも10年間、控除率は0.7%です。
住宅ローン控除に関しては、一般の中古住宅と比べ認定長期優良住宅の方が税的なメリットが高いと言えます。
⇒中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
認定長期優良住宅を中古で購入した場合の住宅ローン控除に必要な書類
住宅ローン控除を受ける場合、初年度のみ確定申告が必要となります。
この確定申告で添付する書類ですが、共通する提出書類のほかに、中古物件でも認定長期優良住宅であることを証明する書類が必要となります。
それが以下の内容となります。
イ 都道府県または市区町村等の長期優良住宅建築等計画の「認定通知書」(売主等名義のもの)の写し(※1、2、3)
※1 「売主等」とは、複数回譲渡された家屋における、前々売主等を含みます(以下同じです)。※2 計画の変更の認定があった場合には「変更認定通知書」(売主等名義のもの)の写し、認定計画実施者の地位の承継があった場合には「認定通知書」(売主等名義のもの)および「承認通知書」(買主名義のもの)の写し
※3 「認定通知書」の区分が既存である場合は、下記ロの書類は不要となります。
ロ 市区町村の「住宅用家屋証明書」(売主等名義のもので、認定長期優良住宅に該当する旨などの記載があるもの)(注1)もしくはその写し、または建築士等(※)が発行した「認定長期優良住宅建築証明書」(売主等名義または買主名義のもの)
これらの書類を引き渡し時にきちんと受け取っておく必要があります。
不動産の契約時にはたくさんの書類を渡されますので、売主さんによっては紛失したということがあり得るかもしれません。
また売主さんが法人の場合、そもそもロの「住宅用家屋証明書」は取得できないので、「認定長期優良住宅建築証明書」が必要になる可能性が生じます。
そうすると、建築士等に書類を発行してもらうための費用がかかる可能性も出てくるかと思います。
ただし、区分が既存以外の場合でもロの書類が不要となる取り扱いもあるようです。
書類の要・不要というのは、申告前に必ず税務署に確認するようにしましょう。