(本記事は令和4年度に執筆した内容を掲載しております)
こんにちは。司法書士の森川です。
今回は事務所での相談であった珍しい話。
相続の相談でのこと
先日、相続登記をしないまま何年も放置していた土地についてのご相談がありました。
最初の所有者が亡くなり、次の所有者となった相続人も亡くなったのですが、最初の所有者が亡くなったときから相続登記をしていなかった、とのことです。
よくあるケースですね。
まずは現在の登記名義人を確認してみましょう、ということで登記情報を取ってみました。
登記名義人の名前が知らない人物の名前になっている
なんと、登記情報を見ると相談者から伺った登記名義人と名前が違っています。
漢字二文字の名前だったのですが、漢字一文字が違っていました。
名字は同じなので一族の誰かかもしれません。
早速相談者の方に確認すると「こんな名前の人、親族にはいない」とのことでした。
じゃあ誰なんだろう?という疑問が沸いてきます。
もしかしたら他人の土地にずっと住み続けていたのかな?という疑問も沸いてきます。
相談者の方はこのまま放置せず相続の手続きを取りたいという希望があったので調査することになりました。
まずは戸籍を調査
まずは登記名義人となっているはずの方の戸籍を調べてみました。
もし親族に実際の登記名義人と同姓同名の方がいれば、戸籍の中に何かヒントがあるかもしれないと思ったのです。
しかし当ては外れました。
実際に登記名義人になっている方の名前は全く出てきません。
当初より可能性を感じていましたが「登記が間違っている」のかもしれません。
昔の不動産謄本を調査
コンピュータ化前の閉鎖謄本を確認すると、名前は間違っていません。
次にその前の移記前の謄本を見ると、なんと、名前が明らかに間違っています。
さらに土地台帳も確認しましたが、やはり所有者となっていたのは相談者が言っていた名前の方でした。
昔の簿冊は手書きで、しかも筆書きなので、少々見ずらいことがあります。当然、間違えることもあるのでしょうが、実際に見ると、こんなこともあるんだなと驚きました。
しかも何十年も昔の登記なのに今まで誰も名前の間違いに気づかなかっただなんて。
法務局に相談すると…
ここで新たな疑問が。
法務局に行けば修正してくれるのだろうか?ということです。
昔の間違いを今さら直せないなんて言われたらどうしようと思いましたが、まずは法務局に行って相談してみることに。
事情を説明すると思いのほかすんなり「じゃあ直しますね」と更正を了承してもらえました。
それから1週間後
法務局からは更正登記が終わったという連絡がなかったので自分達で登記情報を取ってみると…。
ちゃんと更正登記完了しています!
これでようやく相続登記ができる状態になりました。
さて下準備は無事終了。これからメインの業務が始まりますが問題は他にも。
無事に相続登記が完了できるよう頑張ります。